AC730 と AC100はどう違いますか?


ジェスモナイトの主材にはいくつかのバリエーションがありますが、その中から2つの代表的な素材「AC100」と「AC730」について、違いを説明します。

用途

AC730:石製建築物の外壁化粧パネル、屋外常設モニュメント、エクステリア造形、擬岩などの映画セット

AC100:アート、彫刻、ホームウェア、屋内造形物、考古学レプリカなど

傾向として、AC730は建築利用が多め、AC100はアート・デザイン系で好まれることが多いです。
以下で、具体的に違いを説明していきます。

1. ファインさ(型の再現性)

AC100>AC730

AC100,AC730どちらも緻密ですが、 AC730にはフィラー(石片や砂など)があらかじめ含まれているため、より緻密な表面に仕上げたいときはAC100が向いています。

▼刷毛塗りしたときの塗り跡の質感

▼型表面の再現性に関してはAC100・AC730共にかなり精度が良いです。

▼Jesmonite AC730をシリコン型にキャスティングしたサンプル。細部の網点まで再現しています

2. 強度

AC730>AC100

AC730の方が強度が高いです (AC100圧縮強度:25 ‒ 30 MPa、AC730圧縮強度:58 MPa)
比重はAC730の方が若干重いです。(AC100は1.75、AC730は1.85)
多少重くても強度が強いものが必要なときはAC730、より薄く軽くを求める場合はAC100がよいでしょう。

3. 耐水性

AC730>AC100

AC730、AC100ともに屋内・屋外の両方に対応ですが、AC100を屋外使用する際には対雨・防カビなどのために表面コーティングを推奨します。
AC730はコーティングしなくても水に強いです。
AC730は噴水や水中設置の擬岩など常時水に触れる造形物なども適しています。

AC100は水中設置や常時水に濡れる条件の使用は表面が脆くなるためお勧めしません。
雨で一時的にぬれたり、成型物を水洗いすることは特に問題がないですが、常時水に浸かり続ける条件はAC100はNGです。
しかし例えば花瓶など時々水を入れる用途であれば、内側に防水コーティングをすることでAC100でも対応可能です。

▼カラ・ウォーカーさんの作品。Jesmonite AC730を使用

4. 作業時の流動性

AC100>AC730

AC100は、ノーマルの状態でたこ焼きのネタくらいの粘度です。
他のレジン(エポキシ樹脂やウレタン樹脂)のように、シリコン型に流し込みをすることができます(気泡対策は必要です)

AC730は、セメント調の質感でじゃりじゃりとしてぼってりしています。
型にそのまま流し込んでもほとんど流れません。(型に振動を与えると流れます)

通常のポリ樹脂FRPの代替作業をする場合は、圧倒的にAC100が使いやすいです。
左官的な作業をする場合はAC730が使いやすいです。

 

▼AC100の作業

▼AC730の作業

5. 硬化時間

AC100は、基本的に10~25分で硬化開始します。
AC730は、気温によって硬化時間の変化が大きく10~50分で硬化開始します。

どちらも専用の硬化遅延剤があります(それぞれ別々です) ※増粘剤はAC100/200用のみで、AC730用はありません

AC730の硬化時間についてはこちらのページに詳細があります
hthttps://jesmonite-jp-lab.com/faq/ac730settime/

6. 発色の良さ

AC100>AC730

AC100は、非常に鮮やかに発色します。AC730も発色は良いですが、AC100に比べると劣ります。なおどちらにもジェスモナイトピグメントが利用できます。

 

その他、リキッドとベース混合比率なども違いますが、詳しくはジェスモナイト公式サイト 下記ページからユーザガイドがダウンロード可能です

▼ジェスモナイトのユーザガイド ダウンロード
https://jesmonite.jp/document/