型のパーティングライン付近で、ジェスモナイトの色が変わってしまいます


Q

2面のシリコン型を使用してジェスモナイトを注型していますが、パーティングライン(型同士の合わせ部分)の色が違って見えてラインが目立ってしまいます。対策はありますか?

A

2面型、3面型など、パーティングラインがあるシリコン型を使用されていると、バリやへこみなどの形状を修正した後も合わせ目周辺の色が違って見えるケースがあります。特にジェスモナイトAC100を無着色で使用する場合や、ピグメントを少量だけ添加して、薄く着色した場合にこの現象が起きやすい傾向にあります。

▼ 縦のラインがパーティングライン(シリコン型の分かれ目)色が違っている例

原因は、型の合わせ目の隙間にJesmonite AC100の液体成分が吸い寄せられて成分的に偏りが出て、液体に透明感があることで、他の部分との色の違いとなって見えてきます。
ジェスモナイトの上から塗装をする前提であれば、色の違いは特に問題になりませんが、地肌をそのまま生かす仕上げの場合には何らかの対策が必要です。

おすすめの対策としては、着色剤を使用することで合わせ目の変色をかなり目立たなくすることが可能です。
ジェスモナイトAC100に対して、Jesmonite Pigment(着色剤)を2%添加して、しっかりとジェスモナイトに着色してください。

▼ ピグメント白を2%添加したAC100注型:パーティーションラインはあるが、色の違いは目立たない

▼ 同じシリコン型、同じ工程での制作でも、このように仕上がりに違いが出ます。

たとえば人形の肌のように薄いクリーム色を作りたい場合なども、ごく少量の黄ピグメントをジェスモナイトに混ぜて、ジェスモナイトの地色を生かした薄い色を作るのではなく、あらかじめピグメント同士 白・黄・赤などを混ぜ合わせて、最終的に表現したいクリーム色の着色剤をつくります。そして作った着色剤をジェスモナイトに対して2%混ぜることで、薄い色合いでも十分に着色されたジェスモナイトになり、合わせ目の変色を目立たなくすることが可能です。

ジェスモナイト公式のピグメント「Jesmonite Pigment」は全体的に隠蔽力が高く(透けにくい)お勧めですが、専用の着色剤以外でも隠蔽力が高いタイプの着色剤であれば同様の効果が得られます。ジェスモナイトオンラインショップで販売している代替着色剤「水性着色剤CWカラー」でも同様の効果を得られます。

逆に、透けることを前提とした着色剤、例えば水彩絵の具や透明アクリル絵の具(アクリリック)などは、遮蔽力が低いため、同様の効果は得にくいと思います。用途に合った着色剤をお選びください。

ジェスモナイトピグメント・水性着色剤CWカラーはこちらから購入いただけます。
ピグメント(着色剤)|ジェスモナイトオンラインショップ

参考:
今回のサンプルの作業工程

補足:
パーティングラインの変色は、着色をすることでかなり軽減できますが、合わせ目を完全にゼロすることは難しく補修には手間もかかるため、形状や諸条件が合う場合には「シームレスモールド」「ソックモールド」などと呼ばれる、合わせ目のないシリコン型を制作するという選択肢もあります。シームレスモールドを作成するためのシリコンなども今後販売開始予定です。ご興味ある方はメールフォームよりお問い合わせください。