ジェスモナイトは水性樹脂とよばれているため、塗装にウレタン・ラッカー・エポキシなどの油性塗料は使えないのではないか?とご質問を頂くことがあります。
結論から申し上げると、油性塗料でも問題なく塗装できる例が多いです。
※メーカー・種類により溶剤強度など様々に変わりますので、使用前にご自身でテストを行ってください。
ジェスモナイトは純粋な樹脂のみで構成されているのではなく、無機原料と水性樹脂で構成された複合素材です。油性塗料に含まれる有機溶剤成分によって水性樹脂成分が多少侵されることがあったとしても無機の構造体がゆがむことは考えにくいです。松脂を含む杉材のような素材と考えるとイメージが近く理解しやすいかもしれません。
なお、ジェスモナイトメーカーが推奨する相性が良い塗料は水性アクリル系塗料です。
いくつか塗布テスト例をご紹介します。
ジェスモナイトAC100にラッカーサフェーサー(プラサフ)
使用塗料:ロックペイント ラッカー プラサフ グレー
石膏型から割り出したジェスモナイトAC100。
離型剤を水で擦り洗いしたのちに水分を乾燥させ、右半分にプラサフを吹き付けたもの。
ベタつきなどはなく問題なく定着しています。
ジェスモナイトAC100にエポキシ樹脂
使用塗料:オリジナル調合のエポキシ樹脂
AC100 (ピグメント青・緑で着色)+ 鉄粉その他を添加した土台に、透明なエポキシ樹脂を1㎜厚程度でコーティング
ジェスモナイトAC730にエポキシ樹脂
使用塗料:オリジナル調合のエポキシ樹脂
AC100だけでなく、AC730 (Bath Stone・エッチング済)の方も、透明なエポキシ樹脂を1㎜厚程度でコーティング
ジェスモナイトAC100にウレタン塗装
使用塗料:ウレタン(詳細不明)
AC100にサフェーサー、上からウレタン樹脂を吹き付けでコーティング
京都芸術大学プロダクトデザイン学科さまでの授業の例
Tips:基本的な考え方
ウレタン・エポキシ・ラッカーなど油性塗装には幅広い種類がありますが、一般的に強溶剤系塗料の方がジェスモナイトの上に塗った時に問題が出る可能性は高くなります。また、ラッカーなどの薄膜系よりもウレタン防水塗料などの厚塗りをする方が有機溶剤が留まる時間が長くなるため問題が起きやすい傾向にあるといえます。
ただし、ジェスモナイトに限らずあらゆる塗装に言えることですが、通常の塗装は下地・中塗り・上塗りなど複数ステップのシステムで仕上げるため、下地の性質や状態、吸い込み加減・サフェーサーの種類、中塗りや上塗りの種類など、複数の組合せによる要因で不具合が起きるケースも多いです。単体テストのみではなく、実際の施工にあったテストを行うことが大切です。
ジェスモナイトAC100をベースに使用した什器
シューズブランドAXEL ARIGATO コペンハーゲン旗艦店
デザイン: Halleroed
制作: Jon Buck, bucktron Studio