麻布を強化材として使えますか?(ガラス繊維との強度比較)


Q.麻布を強化材として使えますか?

A.使えます◎

麻布は古くから漆の脱乾漆技法などで漆と一緒に長らく使われてきた材料です。奈良時代の国宝像にも下地材として使用されており、造形の世界で非常に長い歴史と実績を持っている材料といえます。

そんな麻布とジェスモナイトの相性は?含侵性や使い勝手は?そのあたりはアイデアサンプルに実験を載せているので是非参考にしてみてください。
アイデアサンプル:LINEN/麻布

さて、そして今回は強化材として「強度」にフォーカスして、「AC100&麻布」2種と「AC100&ガラス繊維」1種で、FRP(繊維強化したジェスモナイト)テストプレート3種類を作成し、簡単な曲げ強度の実験をしてみました。果たしてどんな結果になるのでしょうか?ぜひ用途に合わせた素材選びの参考にしてください。

テストプレート3枚の基本情報

サイズは共通・ジェスモナイト種類はAC100、使用する強化繊維の種類と枚数を変えています。
また、ジェスモナイトAC100の使用量はちょうど繊維がなじむ量としました。

写真左から「AC100&ガラス繊維2層」「AC100&麻布2層」「AC100&麻布4層」です。

厚みは、麻布2枚(1.9mm厚)<ガラス繊維2枚(2.6mm厚)<麻布4枚(3.1mm厚) の順です。手で曲げてみた感触は一番分厚い「AC100&麻布4枚」が一番しっかりしています。

今回テストに使用した生地はこちら。左が麻布。右がガラス繊維です。

ガラス繊維についてはジェスモナイト製の専用の四軸ガラス繊維 を使用しています。

それでは実験を見ていきましょう。

AC100+麻布2層 (1.9mm厚)

↓レンガ2514g

↓レンガ2514g+重石398g 

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g

ぐにゃり…

総重量3.3kgでAC100+麻布2層のFRPプレートは曲がって限界に達しました。

AC100+麻布4層(3.1mm厚)

↓レンガ2514g

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g+レンガ2644g

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g+レンガ2644g+重石397g +重石364g

総重量6.7kgでAC100+麻布4層のFRPプレートは曲がって限界に達しました。

AC100+四軸ガラス繊維2層(2.6mm厚)

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g+レンガ2644g+重石397g +重石364g
この時点が先ほど麻布4枚が折れた重さです。ガラス繊維はまだまだ余裕を感じます。

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g+レンガ2644g+重石397g +重石364g+薄レンガ1932g+薄レンガ1936g

↓レンガ2514g+重石398g +重石353g+レンガ2644g+重石397g +重石364g+薄レンガ1932g+薄レンガ1936g+薄レンガ1933g

 

総重量12.5kgでAC100+四軸ガラス繊維2層のFRPプレートは曲がって限界に達しました。

実験結果

3位:AC100+麻布2層:3.3kg
2位:AC100+麻布4層:6.7kg
1位:AC100+四軸ガラス繊維2層:12.5kg

麻布とガラス繊維を強度面で比較すると、板の厚みの差に関わらず四軸ガラス繊維が圧勝という結果でした。
ガラス繊維2枚で、麻布4枚貼りの倍近くの重量に耐えることができました。
ガラス繊維は引っ張りに強く全く伸びないため、やはり強度面では非常に優れた素材です。

麻布は天然素材で扱いやすく全くチクチクしないという大きなメリットがあり、ガラス繊維は圧倒的に強度が出せるというメリットがあります。
またジェスモナイトの四軸ガラス繊維は編みが粗く塗った後に凹凸が出やすいですが、凹凸を抑えたい場合には麻布の方が目が細かくて向いています。

強度が必要なケースではガラス繊維を、そうではない場面では麻布で作業するなど、用途に合わせてお好みの強化材を選んでみてください♪

このサンプルに関連する素材

ジェスモナイトAC100
ジェスモナイト四軸ガラス繊維 1㎡