ジェスモナイトは水性アクリル樹脂と無機の鉱物原料の2材からなる、有機溶剤を含まない水性の安全な複合造形マテリアルです。
ジェスモナイトには目的・用途によりAC100, AC200, AC730などいくつかのタイプがあります。
このページでは最もベーシックなタイプである ジェスモナイトAC100 について説明します。
準備
以下の内容にご注意ください。(強度低下、硬化時間の遅延、耐久性の低下につながります。)
- 室温10~25度の湿気の少ない環境を推奨、直射日光のあまり当たらない環境で作業して下さい。
- 有機溶剤を通常使用している、または有機溶剤雰囲気の作業環境は出来る限り避けてください。強度に影響があります。
- 混合容器はきれいで乾燥している適当な大きさのものを使用してください。
計量
まずはリキッドとベースを別々の容器に計量します。
標準混合比 AC100の場合
- AC100 リキッド 1
- ジェスモナイトベース 2.5
例:リキッド100gとベース250g
※添加するフィラー(METAL FILLER や石や砂)によっては液の粘度が高くなりますので、流動性を上げたい場合は、リキッドとベースの混合比を1:2まで調整することができます。(ただし1:2.5よりも強度は落ちるのでご注意ください)
また、混合比を 1:3 にすることで若干速乾にでき、気泡やピンホールの穴埋めができます。
必要量の目安
注型では型の容量を 1L とすると、混合された JESMONITE AC100 が 1.85kg 必要となります。
FRP やコーティングでは、1 m2あたり厚み 1mm ごとに 1.85kg 必要で、一般的な積層の仕様、6mm の FRP を作成する場合は、ゲルコートに 2.5kg、バックアップに 8.5kg 必要となります。
混合
リキッドの容器にパウダーを投入します。
液体の方にパウダーを混ぜながら徐々に入れていきます。ダマがなくなり滑らかになった後も3分程度しっかりと攪拌します。仕上がりをよくするため、できるだけ空気を巻き込まないように攪拌してください。
Tips
美しい仕上がりのためには、専用ブレードを取り付けた電動ドリルでの攪拌を推奨します。
手で混ぜる場合はプラスチックや金属のヘラを推奨します。割りばしや刷毛、泡だて器などで混ぜると、ジェスモナイト液に細かい空気の泡を巻き込み、硬化物に気泡が多くなるのでご注意ください。
Tips
攪拌した後、容器をテーブルに軽く叩きつけて振動を与えることで内部の気泡をある程度抜くことができます。なお真空脱泡機の使用も可能ではありますが、あまり相性は良くなく、減圧しすぎると成分が分離することがありますのでご注意ください。
各種添加剤を入れる場合には、既定最大量以下の添加剤を入れてさらに混ぜます。
添加剤はこちら
- リターダー(作業時間延長)
- チクソトロープ(タレ止め剤/増粘剤)
- ピグメント(着色料)
- メタルフィラー(金属粉)
リターダー(硬化遅延剤)は予めリキッドに混ぜてください。その他の添加剤は、ベースとリキッドを混合後で問題ありません。
成型
シリコン等のモールドへの注型、FRP、塗布、吹付など任意の方法で成型してください。
標準混合比でのワークタイム(混合してから硬化開始するまでの時間。ポットライフ/可使時間)は、気温・湿度、添加した物質などより少し変動がありますが混合してから10分~25分で硬化が始まります。室温が高いと硬化時間が早くなり、室温が低いと硬化時間が遅くなります。
Tips
指定最大量(重量比2%)以上にピグメント(着色剤)を添加した場合、硬化遅延や硬化不良が起きる可能性が高くなります。
硬化
硬化時に40C°程度発熱します。使用量が多く数十kgを一気に流す場合でも特に問題はありません。(ポリエステル樹脂で起きるような、硬化時の熱が異常に上がる、ヒビが入るなどの心配はありません)
硬化時には一切収縮は起きず、ごくわずかに膨張します。
硬化前と硬化後で、素材色はわずかに薄く変化します。これは濡れ色で濃く見えていたものが、乾燥することで薄く見えるものです。
脱型
硬化が始まって、指触乾燥(表面を指で触って付かない状態が指触乾燥)の段階は、まだ硬化途中のため、非常にもろい状態です。型の形状にもよりますが、指触乾燥後、30分~1時間程度置いてから離型してください。型から外す際は、歪めるような力をかけないようにご注意ください。ジェスモナイト硬化物が破損する可能性があります。
JESMONITE AC100が最終強度に達するためには、硬化後に残存する水分を完全に乾燥させる必要があります。
Tips
脱型可能時間については、型の種類や形状、また室温によって異なります。
石膏雌型で使用し、割り出しを行う場合は、最低半日ほど置いてください。
外しやすい形状のシリコン型の場合は、硬化開始後、10分ほどで脱型可能ですが様子を見ながら慎重に作業してください。
削り加工を行いたい場合、硬化してできるだけ早い段階の方が柔らかく作業が行いやすいです。完全硬化後に削ることも可能ですが比較的大変になります。
暖かく乾燥した環境で、乾燥に適した通気性の良い棚などにおいて乾燥させてください。
厚みサイズにより 24 ~ 48 時間で最終強度に達します。
完全に乾燥する前に造形物がプラスチックに接触しているとシミが発生することがあります。
表面仕上げ
JESMONITE AC100 はきれいな綿の布で研磨できる、高品質の純アクリル樹脂が含まれています。
ワックスや研磨によって美しい表面を得ることができます。またアクリリックシーラーなどの各種専用シーラーや水性のニスでも仕上げることができます。
保管
リキッドの保管は、容器を確実に密閉し水分の蒸発を防ぐ必要があり、リキッドの表面に膜が張らないようにしてください。凍結しないよう 5 ~ 25°Cの範囲で保管してください。
品質保証期間は、購入から未開封の状態で6ヶ月となります。6か月以内を目安に使用してください。
(保存状態に問題がなければ、数年経過後も品質には問題なしの実績があります。)
漆との密着や塗り肌はテストされましたか?
返信が大変遅くなり失礼いたしました。
ジェスモナイトの上に漆を塗ったテストは、私どもでは直接は行っておりませんが、いくつか事例がございます。
下記ご参照ください。
京都市立芸術大学 漆芸専攻
(スタイロフォームの上にジェスモナイトコーティング、その後漆塗りの滑り台)
https://jesmonite.jp/artwork_jp/kcua-urushi/
美術作家:加藤大介さま(3Dプリントの上にジェスモコーティング、その後漆)
https://jesmonite.jp/artwork_jp/veilandreflect-daisukekato/
アイデアサンプル
https://jesmonite-jp-lab.com/idea/urushi-japanese-lacquer/
作業場所は、暖かく乾燥した場所もダメで直射日光があたる場所もダメと言う事ですか?
コメントありがとうございます。
作業場所ですが室温10~25度くらいの乾燥した室内を推奨します。
極端な低温もしくは高温は避けた方が良いです。また直射日光が当たるとただちににダメという事はありませんが、表面だけが一気に乾燥するような環境で作業すると美しく仕上がらない場合があります。
リキッドは使用前によく混ぜてくださいとありますが、混ぜ方にコツや時間などはありますでしょうか。
結構激しく混ぜちゃっても大丈夫でしょうか。
コメント返信が遅くなり申し訳ありません。
リキッドの混ぜ方ですが、ある程度激しく混ぜて大丈夫です。ただ混ぜることでリキッド自体が泡立ちますので、その後少し時間を置き、振ったことで発生した泡が抜けてからご使用頂くと綺麗に仕上がります。
AC100でAC730のような質感を出すにはどうしたらいいですか?
AC730のような質感を出すには、骨材(細かい石や砂)をAC100に多めに入れることで、ザラザラとした質感を加えることはできます。
ただAC100は固まった後に表面を溶かすエッチングはできないので、サンドペーパーなどで削ることになります。