ジェスモナイトAC100と石膏の違い


Q. ジェスモナイトと石膏の違いは?

A. ざっくりいうと石膏はチョークのような質感、ジェスモナイトは石のような質感が近いです。

石膏は様々な種類やグレードがある材料のため、今回は美術・造形でジャンルで一般的に使用される「A級石膏(焼石膏A級)」と「ジェスモナイトAC100」の2つで実験してみました。

1.使う材料

ジェスモナイトAC100は専用AC100リキッド(白い液体)と専用ベース(白い粉)の2材タイプの材料です。
A級石膏は粉の材料で、適量の水を混ぜて使用します。混水量は石膏メーカー/型番/グレード等によって異なります。

2.粘度変化

ジェスモナイトAC100は、混ぜてから硬化するまで ほぼ同じ粘度を保ちます。ジェスモナイト専用の増粘剤で好みの粘度に調整できます。A級石膏はしばらくはしゃぶしゃぶで、あるタイミングから短時間で刻々と粘度が変わります。

▼ジェスモナイトと石膏の流動性を比較した動画

3.素材の色&着色剤の発色

無着色

Jesmonite® AC100は乳白色よりの白で、A級石膏はマットな純白です。

着色時

こちらは着色剤(Jesmonite® pigment)の発色を比較しました。どちらにも2%のピグメントを添加しています。

Jesmonite® AC100は鮮やかに発色し、石膏はやや白っぽい発色になりました。また、石膏にピグメントを入れた場合、通常よりも硬化時間がかなり遅くなりました。

表面の色移り

硬化&乾燥後にそれぞれを紙に擦った場合の削れ具合はこのようになりました。

A級石膏はピグメントの粒子が浮いている感じがあり、チョークのように紙に色が移りました。Jesmonite® AC100は強く擦ってもわずかにつく程度で、ほとんど色移りしません。

水への溶け出し具合

着色したピースを乾燥後に1時間水に浸けた結果、A級石膏はピグメントが水に溶けだし水が赤くなり、Jesmonite® AC100は変化しませんでした。

4.表面の質感

A級石膏の表面は粉っぽくマットで、完全に固まった後でも触ると白い粉が付きます。爪が当たると傷がつくほど柔らかいです。
Jesmonite® AC100の表面は硬く締まっており、触っても全く粉はつきません。

5.強度(繊維強化した際の強度感)

「A級石膏+麻布2枚」、「ジェスモナイトAC100+麻布2枚」で同じ厚み(約2mm厚)の板を作り、強度の実験をした様子です。

▼A級石膏プレートの実験

▼Jesmonite® AC100プレートの実験

A級石膏板は 約780gで落ち、Jesmonite® AC100板は 約3100gで落ちました。
この実験では、ジェスモナイトプレートはA級石膏プレートの4倍ほどの重量に耐えました。

 

6.重さ(乾燥後)

A級石膏の乾燥時比重はおよそ1.09と、軽量な軽石のような印象です。
Jesmonite® AC100は乾燥時比重は1.75と、ずっしり重さを感じる仕上がりです。

7.加工性・切削性

A級石膏はサンディングすると簡単に削ることができます。切削性は高く、彫刻刀やカッターでもサクサクと簡単に彫ることができます。

Jesmonite® AC100はかなり固いですが、サンディングは可能でテラゾ仕上げにも適しています。しかし刃物での造形には硬すぎて適しません。(刃物での造形にはジェスモナイトAC200が対応)

▼Jesmonite® AC100とA級石膏の削りを比較した動画

8.吸水性

吸水性はA級石膏の方が圧倒的に高く、表面についた水や油はすぐに吸い込みます。
Jesmonite® AC100も吸水性はありますが、吸い込みはゆっくりです。吸水性の記事はこちら▼
ジェスモナイトはアロマストーンとして使用できますか?

まとめ

A級石膏はかろやかで繊細、切削性の良さや吸水性の高さが必要な場合に特に役立つ材料です。たとえば陶磁器の鋳込み型は石膏の吸水性の高さを生かして使われています。また純白な素肌感を表現をしたい場面も石膏が向いてます。

ジェスモナイトは高強度や高耐久、高発色、表面強度が必要な場面で活躍する材料です。軽量で強度が必要な大型造形物や大型彫刻、天板や座面などの家具などに向いています。

A級石膏の方が安価なため、どちらの材料でも要件を満たす場合はA級石膏が経済的に有利です。

それぞれの特性を比べながら、ご使用の目的に合った素材選びの参考にしてみてください♪